皆さん、ハマコーって知ってますか？
今はもうお亡くなりになられていますが、自民党 千葉県選出の衆議院議員だった浜田幸一(はまだこういち)です。浜と幸でハマコー。とっても豪快な政治家で政界の暴れん坊なんて言われてましたけど。あっ、そう言えば昔。自民党四十日抗争と言われた党内の派閥抗争があって、国会の中にバリケードとして築かれた椅子や机をかき分けながら「いいか、断っとくけどな。かわいい子供たちの時代のために自民党があるっちゅうことを忘れるな。お前らのためだけに自民党があるんじゃないぞ」という名言を吐いて暴れていました。まさに暴れん坊。しかし、それでいてお茶目なところがあって憎めない人でしたね。だからハマコーなんて愛称でよばれてたくらい。
そのハマコーが晩年、ビートたけしのTVタックルという討論バラエティー番組で、悪党党幹事長 (番組演出上の肩書です) として準？レギュラー出演をしていたのですが、その時必ずと言ってもいいくらい対抗言論のメンバーに日本の最強リベラル？と言われる政党の議員が出演していました。その最強のリベラル？議員が意見なりコメントを言おうと口を開けるや否や、何故かハマコーは「あんたヒマだからそんなことしか言えないんだよ…」と間髪入れずに、何時も最強リベラル?政党の議員のコメントを遮っていましたね。まぁ、これも番組上の演出かもしれませんが。ハマコーのキャラと相俟って、それになんて言おうと番組のタイトルにタックルとありますからね…笑。
というわけで、今回はハマコーの番組上の名言「あんたヒマだから…」を糸口にヒマについて考えてみたいのですが、その際、フランスの哲学者パスカルの思考を補助線にしてヒマの根源に迫っていければと思います。ほら、学校で物理の時間に習ったパスカルの原理。そのパスカル。よく覚えていませんが。なんか圧力の法則みたいなものを発見した人～この時代の人は何の教材も無いのに頭が良かですね～。そのパスカルが自身の著書『パンセ』において「人間の不幸の原因は部屋の中でじっとしていること」だと述べていると言われてます。そしてもう一つ「人間は考える葦である」という名言も。葦(あし)って川っ辺りに群生している背の高いススキのような植物ですよ。
人それぞれではありますが、ヒマなとき人は只じっとしているだけでなく、頭の中でいろいろなことが駆け巡りますよね。それが不埒なことだったり、高尚なことだったりと。生きていれば無意識のうちに何かしら想像してます。図解雑学 哲学(ナツメ社 貫 成人著)を読むと、パスカルによれば人間は、真理と正義を渇望しながら、それを実現できず、かといってその思いを断ち切ることもできない中途半端な存在である。また人間は、平安を求めながら、平穏な生活がもたらす倦怠には耐えきれず、社交や賭博、出世競争や戦争といった「気晴らし」に身をついやす。しかし、こうした不幸は人間の高貴さの表れでもあるのだと紹介されている。二面性があるんですね。ていうか、二律背反。この二面性・二律背反性が複雑に絡み合って取り付く島がない感じかな。
さてさてハマコーは何故にヒマというワードを使ったのか。先ずはヒマの定義を考察しなくてはなりません。調べてみたら、ヒマの定義はおおよそ次の三つではないでしょうか。①～している時間 ➁～と～のいとま ③むさぼり ①と➁は特定の行為の、又はその行為の活力の為に必要な時間(休憩など) ③は何するわけでもなく只々時間に追い越されてしまっている状態。以上私なりの解釈を加えて定義しましたが、ハマコーの最強リベラル？議員に言ったヒマの意は③でしょうね…笑
ところでパスカルのライバルと言われている人に皆さんもよくご存じのデカルトがいます。今日の世界は概ね彼の科学的世界観に則って構築されているともいわれています。しかしもしもパスカルの世界観が採用されていたら…そうついつい考えてしまいます。おそらく人前でプンプン異臭を放ち、無自覚に万能感に浸り、それでいて何か自分に不都合なことが起きたら逃げ足の速い…そんな小賢しい人間は存在しなかったでしょうな。まぁ、あえて誰のような人とは言いませんが。私はデカルト的世界観より、あの二面性の隘路にはまってしまったようなパスカルの世界観に一票。今日の人間の機械化(デジタル化)の危機にあの人間臭さ…嫌いじゃないです。
話がかなり横滑りしましたが、大切なことは、ハマコーが言論封鎖した最強リベラル政党？の議員のようにドグマ(教条主義)に陥った、まさに葦の一本も生えないような荒廃した風景にせぬよう、いろいろ疑ってみて、分からないことを分からないまま考え続ける。頭の中が葦だらけになるくらい。なんだったら考えながら死んでもいい。人の意見や思想などをデフォルトのまま受け取り仕舞い込むのではなく、自分の言葉に置き換えてみたり、自分の哲学(思考)の補助線にしてみてもいい。そんな態度が幸せへの最短切符になるのではないか。そしてそれは何時までも人間であることを証明してくれるのではないかと思います。
あれ、なんかいいこと言っちゃったなぁ(笑)。ハマコーさん天国からこの散歩道に素敵な考える素材を提供してくれてありがとうございました。
さぁ、今日も風に吹かれて、良き気晴らしに身をついやしていきましょう。